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実家が空き家になる前に決めること|家族で話す順番

「親が施設に入ったら、実家はどうなるのだろう」「いつか空き家になると分かっていても、何から話せばいいか分からない」。そんなふうに迷っている方は多いと思います。

実家のことは、親が元気なうちに話し合っておくほど、選べる方法が増えます。親が認知症などで判断が難しくなると、売ったり貸したりする手続きが難しくなることもあるためです。

この記事では、次の3つが分かります。

  • 空き家になる前に、家族で決めておくことと、その順番
  • 売る・貸す・残すを考えるときの判断の目安
  • 名義や相続登記、税金の特例など、知っておきたい制度

結論:家族で話し合う順番

  1. 親が実家をどうしたいか、気持ちと希望を聞く
  2. 実家の名義と、ローンや固定資産税などの費用を確かめる
  3. 空き家になったら誰が管理するかと、費用を誰がどう負担するかを決める
  4. 売る・貸す・残すのどれにするか、方向性を家族で話し合う
  5. 親の判断が難しくなったときに備えて、早めに手続きの相談先を決めておく

まず、親の気持ちと希望を聞く

実家の持ち主は親なので、最初に親がどうしたいかを聞きます。

実家には、親が長年暮らした思い出があります。子どもが先に「売ったほうがいい」と決めてしまうと、親は気持ちを置き去りにされたと感じるかもしれません。

「いつか誰かに住んでほしい」「家族に負担をかけたくないから売ってほしい」など、親の希望はさまざまです。仏壇やお墓、近所付き合いのことなど、気にかけていることも一緒に聞いておきましょう。

話し合いを進めるコツ

一度で決めようとせず、きょうだい全員が同じ情報を持って話します。

  • 話すきっかけをつくる:お盆や正月の帰省、親の通院の付き添いなど、家族が集まる機会に少しずつ話します。「何かあったときに困らないように」と、親を心配する気持ちから切り出すと、話しやすくなります。
  • きょうだいで情報をそろえる:実家の近くに住む人だけが話を聞いていると、ほかのきょうだいとの間で行き違いが起きやすくなります。電話やビデオ通話で、全員が同じ話を聞けるようにしましょう。
  • 決めたことを書き残す:誰が何を担当するか、費用をどう分けるかを、メモにして家族で共有します。正式な書類でなくても、あとで「言った・言わない」にならないための助けになります。

親が施設への入居をためらっている場合は、実家の話を急ぐと、施設の話までこじれることがあります。施設のことは、親が施設を嫌がるときの対応の記事も参考にしてください。

実家の名義と、かかっている費用を確かめる

話し合いの前に、名義と毎年の費用を確かめておくと、具体的に考えやすくなります。

  • 名義:土地と建物の名義が誰になっているか。祖父母の名義のまま、ということもあります。名義は、法務局で登記事項証明書を取ると確かめられます。
  • ローン:住宅ローンが残っていないか。
  • 毎年の費用:固定資産税、火災保険、電気・水道の基本料金、町内会費など。
  • 建物の状態:雨漏り、シロアリ、庭木など、修繕が必要なところはないか。

毎年の費用は、親のもとに届く固定資産税の通知書や、公共料金の請求を一緒に見ると確かめやすくなります。親に見せてもらうときは、「何かあったときに困らないように、一緒に確認させてほしい」と、理由を伝えてからにしましょう。

名義が祖父母のままの場合は、親の代で相続の手続きが済んでいないことになります。そのままにすると、関わる相続人が増えて、手続きが難しくなることがあります。早めに司法書士や法務局に相談しましょう。

誰が管理するかと、費用の分担を決める

「誰が見に行くか」と「費用を誰が払うか」を、きょうだいで具体的に決めておきます。

空き家になると、風を通す、郵便物を確かめる、庭木を手入れするなどの管理が必要です。管理が十分でないと、建物が傷んだり、近所に迷惑をかけたりするおそれがあります。

  • 管理する人:実家の近くに住んでいる人が担当するのか、交代で行くのか。遠方なら、管理を業者に頼むことも考えます。
  • 行く頻度:月に1回など、無理のない頻度を決めます。
  • 費用の負担:固定資産税や修繕費、交通費を、親のお金から出すのか、きょうだいで分けるのか。
  • 記録の残し方:かかった費用や、家の様子を記録して、家族で共有します。

管理する人に負担が偏ると、きょうだいの関係がぎくしゃくしがちです。交通費や手間をどう分けるかも、最初に話しておきましょう。

実家の鍵を誰が持つか、近所の方に連絡先を伝えておくかも決めておくと安心です。台風や大雪のあとなど、急いで様子を見に行く必要があるときに、誰が動くかも話しておきましょう。

売る・貸す・残すの方向性を決める

家族の誰かが住む予定があるか、管理を続けられるかで、方向性が決まってきます。

こんなとき考えやすい方向性
家族の誰かが将来住む予定がある残して管理する(住むまでの管理の方法を決める)
誰も住む予定がなく、管理も難しい売ることを考える
誰も住まないが、手放したくない貸すことを考える(修繕費や管理の手間も確認する)
親が施設から戻る可能性があるすぐには決めず、管理しながら様子を見る

それぞれの選択肢の特徴や、空き家になったあとの手続きは、実家が空き家になったらどうするかの記事で詳しく説明しています。売る前に必要な家の片付けは、実家の片付けの記事で紹介しています。

貸す前に確かめたい税金の特例

親が施設に入ったあとに実家を貸すと、相続後に売るときの税金の特例が使えなくなることがあります。

国税庁のタックスアンサー(No.3306)では、相続した実家(空き家)を売ったときに、売って得た利益から最高3,000万円を控除できる特例が紹介されています。対象は、令和9年12月31日までの売却です。相続人が3人以上の場合は、2,000万円までです(令和6年1月1日以後の売却)。

親が要介護認定を受けて老人ホームなどに入っていた場合も、一定の要件を満たせば対象になります。ただし、要件の中には、親が住まなくなってから亡くなるまで、家を貸したり、ほかの人が住んだりしていないことが含まれています(No.3306。2026年10月20日に確認。ページには「令和8年4月1日現在法令等」と表示)。貸すかどうかを決める前に、税務署や税理士に相談しましょう。

親の判断が難しくなったときに備える

親が認知症などで判断が難しくなると、実家を売ったり貸したりする手続きに時間がかかるため、元気なうちに相談しておきます。

家を売ったり貸したりする契約は、持ち主である親が、内容を理解して結ぶ必要があります。判断が難しくなった場合は、家庭裁判所が選んだ成年後見人などが、親に代わって手続きをすることになります。

大阪家庭裁判所の資料では、成年後見人が本人の住まいの不動産を売ったり貸したりするには、施設に入っていて今は住んでいない家も含めて、家庭裁判所の許可が必要とされています。許可を得ずに結んだ契約は無効になると説明されています。

どんな準備ができるかは、親の状態や家族の事情によって違います。親が元気なうちに、司法書士や弁護士などの専門家に相談しておくと安心です。

相続したら必要な手続き:相続登記

親が亡くなって実家を相続したら、3年以内に名義を変える手続き(相続登記)が必要です。

法務省のサイトでは、令和6年4月1日から相続登記が義務になったと案内されています。相続したことを知った日から3年以内に申請する必要があり、正当な理由なく申請しないと、10万円以下の過料が科される可能性があります。令和6年4月1日より前に相続した不動産も対象で、令和9年3月31日までに登記する必要があります(2026年10月20日に確認)。

誰が実家を相続するかは、相続人みんなでの話し合い(遺産分割協議)で決めます。相続税がかかるかどうかや、税理士に頼むべきかは、相続で税理士は必要かの記事で説明しています。

名義や相続、税金の個別の判断は、司法書士・税理士・弁護士などの専門家や、法務局・税務署などの公的な窓口に相談してください。

困ったときの相談先

内容に合わせて、公的な窓口と専門家を使い分けます。

  • 市区町村の空き家の相談窓口:空き家の管理や、空き家バンクなどの制度について相談できます。窓口の名前は市区町村によって違います。
  • 法務局:登記事項証明書の取り方や、相続登記の手続きについて相談できます。
  • 税務署・税理士:売るときの税金や、特例が使えるかどうかを相談できます。
  • 司法書士・弁護士:相続登記の手続きや、相続人どうしの話し合いが難しいときに相談できます。
  • 地域包括支援センター:親の判断が難しくなってきたときの、成年後見制度の相談の入り口になります。

まとめ

親の気持ちを聞くことから始め、管理・費用・方向性を、元気なうちに家族で話し合っておきましょう。

実家が空き家になる前に決めておきたいのは、親の希望、管理する人と費用の分担、売る・貸す・残すの方向性です。名義や税金の特例など、期限や要件のある制度もあります。

すべてを一度に決める必要はありません。帰省のたびに少しずつ話し合い、迷ったら専門家や公的な窓口に相談してください。

参考にした情報

※情報は2026年10月時点のものです。制度やサービスの内容は変わることがあるため、最新の情報は各公式サイトや市区町村でご確認ください。