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親が免許返納を嫌がるときの話し方|返納前後にできること

「最近、親の運転が心配」「返納の話をしたら、怒られてしまった」。離れて暮らす親の運転について、どう切り出せばいいか迷っている方は多いと思います。

親にとって車は、買い物や通院のための大切な足です。運転できなくなることは、暮らしの自由が狭まることでもあります。返納を嫌がるのは、わがままではなく、暮らしを守りたいという自然な気持ちです。

この記事では、次の3つが分かります。

  • 親の気持ちに寄り添った、返納の話の切り出し方
  • 返納の前にできることと、免許の更新の制度
  • 返納したあとの移動手段と、自治体などの支援
実家のダイニングで、80代の父と50代の娘が、テーブルの上の車の鍵を前に、落ち着いて話し合っているイラスト

結論:迷ったときの判断の順番

  1. 運転をやめてほしい理由を、責める言い方ではなく、心配する気持ちとして伝える
  2. 親が車で行っている場所と回数を書き出し、車がなくても暮らせるかを一緒に確かめる
  3. すぐに返納できないなら、夜や雨の日は運転しないなど、運転の範囲を減らす
  4. 返納したあとの移動手段と、自治体などの支援を調べてから、返納を提案する
  5. 迷ったら、かかりつけ医や、警察の安全運転相談の窓口に相談する

親が免許の返納を嫌がる理由

嫌がる理由は、暮らしの不便と、自分を否定されたように感じる気持ちの2つが多いです。

  • 暮らしが不便になる:スーパーや病院が遠く、車がないと出かけられない地域では、運転は暮らしに欠かせません。
  • 自分はまだ大丈夫だと思っている:長く無事故で運転してきた方ほど、自分の運転に自信を持っています。
  • 年寄り扱いされたくない:返納を勧められると、自分の能力を否定されたように感じることがあります。
  • 趣味や人付き合いが減る:友人に会いに行く、畑に行くなど、楽しみのための外出も車に頼っていることがあります。

どの理由が大きいかで、話し方や準備することが変わります。まずは、親が車をどんなことに使っているのかを聞いてみましょう。

家族が気づきやすい運転の変化

気になる変化に気づいたら、記録しておき、話し合いの材料にします。

  • 車に新しい傷やへこみが増えている
  • 駐車や車庫入れに、前より時間がかかる
  • よく知っている道で迷うことがある
  • 信号や標識を見落としそうになる場面があった
  • 同乗すると、ブレーキが遅いと感じる

これらは、運転をやめるべきかどうかを判断するものではありません。気になることが続くときは、かかりつけ医や、警察の安全運転相談の窓口に相談しましょう。

返納を勧めるときの話し方

「やめさせる」のではなく、「これからも安心して暮らす方法を一緒に考える」姿勢で話します。

心配している気持ちを伝える

「危ない」と決めつけず、自分の気持ちとして伝えます。

「運転が下手になった」と言われると、親は反発しがちです。「事故にあわないか心配で」「遠くに住んでいて、何かあってもすぐ行けないから」など、心配している気持ちとして伝えましょう。

具体的な出来事をきっかけにする

車の傷や、ヒヤリとした出来事など、親も気づいていることから話します。

帰省したときに同乗して、気になったことがあれば、その場ではなく落ち着いてから話します。「車の傷が増えたね」「駐車に時間がかかっていたね」など、事実を伝えると、親も考えやすくなります。

一度で決めない・第三者の力を借りる

何度かに分けて話し、家族以外の人の意見も参考にしてもらいます。

一度の話し合いで返納を決めてもらう必要はありません。かかりつけ医に運転のことを相談したり、警察の安全運転相談の窓口を一緒に利用したりすると、親も受け入れやすくなることがあります。

運転をやめるかどうかは、親自身が決めることです。家族の意見を押し付けず、親が納得して決められるように、情報や選択肢をそろえる役に回りましょう。

返納の前にできること

すぐに返納できないなら、運転する場面を減らし、安全に運転できる工夫をします。

  • 運転の範囲を決める:夜、雨の日、高速道路、混雑する時間帯は運転しないなど、親と約束を決めます。
  • 車がなくても暮らせるか試す:ネットスーパーや宅配、バスなどを使って、車を使わない日をつくってみます。
  • 安全な車に替える:衝突被害軽減ブレーキなどが付いた車を選ぶ方法もあります。
  • サポートカー限定免許:警察庁のサイトでは、申請により、より安全な車(サポートカー)に限って運転できる条件を、普通免許に付けられると案内されています。

高齢者の免許の更新の仕組み

70歳以上は高齢者講習、75歳以上は認知機能検査を受けてから、免許を更新します。

警察庁の資料では、免許の更新期間が満了する日に70歳以上の方は、更新のときに2時間の高齢者講習を受けることになっています(講義、運転適性検査器材による指導、実車指導)。75歳以上の方は、認知機能検査も受けます。検査の通知は、更新期間が満了する日の6か月前までに警察から届きます。

検査で「認知症のおそれがある」とされた場合は、医師の診断を受けることになり、認知症と診断されると、免許の取消しなどの対象になります。また、75歳以上で、過去3年間に信号無視などの一定の違反歴がある方は、運転技能検査に合格しないと、免許を更新できません(2026年10月20日に警察庁のサイトで確認)。

更新の通知が届いたときは、家族が運転について話すきっかけにもなります。親の住む都道府県の運転免許センターで、日程や手続きを一緒に確かめましょう。

返納の手続きと運転経歴証明書

返納すると、本人確認に使える「運転経歴証明書」を申請できます。

警察庁のサイトでは、運転に不安を感じるようになった高齢の方などは、自分から運転免許証を返納できる(自主返納)と案内されています。ただし、免許の停止や取消しの処分中の方などは、自主返納できません。

返納した方は、運転経歴証明書の交付を受けられます。返納から5年以上たつと、交付を受けられません。平成24年4月1日以降に交付された運転経歴証明書は、運転免許証に代わる公的な本人確認書類として使えます(2026年10月20日に確認)。

手続きの窓口、必要なもの、手数料は、都道府県によって違います。親が住んでいる都道府県の警察のサイトで確かめてください。

返納の手続きに家族が付き添うと、親の不安がやわらぐことがあります。帰省に合わせて一緒に窓口へ行き、運転経歴証明書の申請も同じ日に済ませると、手間を減らせます。

返納したあとの移動手段と支援

返納を提案する前に、車の代わりになる移動手段と、使える支援を調べておきます。

車がないと暮らせない状態のままでは、返納を受け入れるのは難しくなります。親が車で行っている場所(スーパー、病院、銀行、友人の家など)と回数を書き出し、それぞれの代わりの手段を考えましょう。

  • バス・電車・タクシー:自治体によっては、高齢の方向けの割引や、タクシーの利用券があります。
  • 自治体のコミュニティバスや乗り合いの送迎:地域によっては、予約して乗れる乗り合いの車などもあります。
  • 宅配・移動販売:ネットスーパーや生協の宅配、移動販売車を使うと、買い物で出かける回数を減らせます。
  • 家族や近所の助け:通院の日に家族が送迎する、近所の方に買い物を頼むなど、無理のない範囲で分担します。

警察庁のサイトでは、免許を自主返納した方を対象に、地域の実情に応じて、自治体や事業者などによるさまざまな支援が行われていると案内されています。詳しくは、一般社団法人全日本指定自動車教習所協会の「高齢運転者支援サイト」や、親が住んでいる市区町村のサイトで確かめてください。支援の内容は、自治体によって異なります。

返納したあとは、外出の回数が減って、気持ちが沈んだり、体力が落ちたりすることもあります。電話の回数を増やす、外出のついでに会える人をつくるなど、親の暮らしの変化に気を配りましょう。

介護が必要な場合の通院の付き添いや、買い物の支援については、地域包括支援センターでも相談できます。見守りの方法は、離れて暮らす親のひとり暮らしが心配なときの記事で紹介しています。

困ったときの相談先

運転のことは警察、体のことはかかりつけ医、暮らしのことは地域包括支援センターに相談できます。

  • 安全運転相談の窓口(都道府県警察):運転に不安があるときの相談を受け付けています。全国統一の安全運転相談ダイヤル「#8080」に電話すると、発信した場所の都道府県警察の窓口につながります。
  • かかりつけ医:病気や薬が運転に影響しないかを相談できます。
  • 地域包括支援センター:返納したあとの買い物や通院など、暮らしの支援について相談できます。
  • 市区町村の窓口:返納した方への支援や、コミュニティバスなどの移動手段について確かめられます。

まとめ

親の気持ちを尊重しながら、返納の前後の暮らしを一緒に準備しましょう。

免許の返納は、親の暮らしを大きく変える決断です。心配する気持ちを伝え、車がなくても暮らせる方法を一緒に探してから、返納を提案しましょう。

すぐに返納できない場合は、運転の範囲を減らすことから始められます。迷ったら、かかりつけ医や警察の安全運転相談の窓口に相談してください。

参考にした情報

※情報は2026年10月時点のものです。制度やサービスの内容は変わることがあるため、最新の情報は各公式サイトや市区町村でご確認ください。