「離れて暮らす親が心配で、見守りカメラを付けたい」。そう思って話してみたら、「見張られているみたいで嫌だ」と断られてしまった。そんな経験はありませんか。
親を心配する気持ちと、親の「自分の暮らしを守りたい」という気持ち。どちらも大切なものです。だからこそ、どう話せばいいのか迷ってしまいますよね。
この記事では、次の3つが分かります。
- 親が見守りカメラを嫌がる、よくある理由
- 納得してもらうための伝え方と、置き場所や使い方の工夫
- カメラを使わない見守りの方法と、困ったときの相談先

先に結論:まずやること5つ
- まず、親が嫌がる理由をていねいに聞く
- 「見張る」ではなく「安心したい」という気持ちを伝える
- 置き場所や使う時間を、親と一緒に決める
- お試し期間をつくり、嫌ならやめてよいと約束する
- どうしても難しいときは、カメラ以外の見守りを選ぶ
親が見守りカメラを嫌がる、よくある理由
親が嫌がるのには、たいてい理由があります。理由が分かれば、解決の糸口も見えてきます。まずは、よくある理由を知っておきましょう。
「見張られている」と感じる
いちばん多いのは、「監視されているようで落ち着かない」という気持ちです。自分の家で、いつ見られているか分からないのは、誰にとっても気になるものです。
「まだ一人で大丈夫」という思い
カメラを付けることを、「もう一人では暮らせない」と言われたように受け取る親もいます。長く自分の力で暮らしてきた人ほど、子どもに心配されることに抵抗を感じることがあります。
機械や設定がよく分からない
「難しそう」「壊したらどうしよう」という不安から断る場合もあります。この場合は、設定や操作を子どもが引き受けると伝えるだけで、気持ちが軽くなることがあります。
映像がどう扱われるか不安
「映像が外に漏れたりしないのか」と心配する親もいます。この不安は、もっともなものです。後で紹介するように、設定をきちんとすることで、危険を小さくすることができます。
納得してもらうための伝え方
話し方を少し変えるだけで、受け止め方が大きく変わることがあります。親の気持ちに寄り添いながら、少しずつ話を進めましょう。
「心配だから」より「安心したいから」
「一人だと危ないから」という言い方は、親の暮らしを否定しているように聞こえがちです。「離れていると、元気かどうか分かるだけで私が安心できるの」と、自分の気持ちとして伝えてみましょう。
話しかけ方の例
- ×「カメラを付けるからね」 → ○「顔を見て話せたら安心だから、一緒に考えてもらえないかな」
- ×「何かあったら困るでしょ」 → ○「何かあったときに、すぐ気づけるようにしておきたいんだ」
- ×「みんな付けているよ」 → ○「嫌なところがあったら、遠慮なく教えてね」
親の本音を聞くための質問
嫌がる理由は、親自身もはっきり言葉にできていないことがあります。次のような質問で、少しずつ本音を聞いてみましょう。
- 「カメラの、どんなところが気になる?」
- 「どこに置いてあったら、気にならないと思う?」
- 「もし使うとしたら、どんなときなら見てもいい?」
- 「ほかに、こうしてくれたら安心という方法はある?」
答えを聞いたら、すぐに反論せず、「そう感じるんだね」といったん受け止めることが大切です。理由が分かれば、置き場所や使い方の工夫で解決できることも多くあります。
一度で決めようとしない
その場で返事をもらおうとすると、親は「押しつけられた」と感じやすくなります。「考えておいてね」と伝えて、次の電話や帰省のときに、もう一度話してみましょう。
親とこれからのことを話すときの全体的なコツは、親の一人暮らしが心配なときの記事でも紹介しています。
きょうだいがいる場合は、先に考えをそろえておきましょう。家族の意見がばらばらだと、親が迷ってしまいます。
置き場所や使い方の工夫
「付けるか、付けないか」だけで考えず、使い方を工夫すると、親が受け入れやすくなることがあります。
置き場所を一緒に決める
- 寝室や浴室・トイレなど、プライベートな場所には置かない
- 玄関や居間など、生活の様子が分かる場所だけにする
- カメラの向きを、親が座る場所から少し外す
見る時間やルールを決める
「朝と夜に一度ずつだけ見る」「電話に出ないときだけ確認する」など、見るときのルールを親と決めておくと安心につながります。ルールは紙に書いて、親の目につく所に置いておくのもよい方法です。
お試し期間をつくる
「まずは1か月だけ試して、嫌だったら外すね」と約束すると、親も返事をしやすくなります。実際に使ってみて、思ったより気にならないと感じる親もいます。
映像を守るための設定
総務省は、インターネットにつながるカメラの映像が、設定が不十分なために第三者に見られてしまうおそれがあるとして、注意を呼びかけています。カメラを使うときは、次の点を確認しましょう。
- 初期のパスワードのままにせず、長く推測されにくいパスワードを設定する
- カメラの本体のソフトウェアを最新にしておく(メーカーのサポートが続いている製品を選ぶ)
- 使わない機能は止めておく
こうした点を親に説明すると、「映像が漏れないか」という不安をやわらげることにもつながります。
見守りカメラを選ぶときのポイント
親が受け入れてくれそうなら、次に考えたいのがカメラ選びです。親の暮らしと気持ちに合うものを選ぶと、長く使い続けやすくなります。
親の負担が少ないこと
親が操作しなくても使えるものを選びましょう。電源を入れておくだけで動き、設定は子どものスマートフォンからできるものなら、親の「難しそう」という不安を減らせます。
実家のインターネット環境
多くの見守りカメラは、実家にインターネットの環境(Wi-Fi)があることが前提です。実家にWi-Fiがない場合は、回線を新しく用意する必要があるか、事前に確かめておきましょう。
あると便利な機能
- 会話の機能:カメラ越しに声をかけたり、話したりできる
- お知らせの機能:人の動きがあったときや、長く動きがないときに知らせてくれる
- 夜でも見える機能:部屋が暗いときでも様子が分かる
- カメラの向きを変える機能:見られたくないときに、レンズを隠したり向きを変えたりできる
機能が多いほど便利ですが、そのぶん設定も増えます。「何のために見守りたいのか」を先に決めて、必要な機能にしぼると選びやすくなります。
付けたあとに気をつけたいこと
付けたら終わりではありません。使い始めてからも、親の気持ちを大切にし続けることが、信頼につながります。
- 約束したルールを守り、決めた時間以外はむやみに見ない
- ときどき「カメラ、気にならない?」と聞いて、置き場所や使い方を見直す
- 映像で気になることがあっても、問い詰めず、電話で様子を聞く
- カメラだけに頼らず、電話や帰省で直接話す機会も大切にする
カメラは、親と顔を合わせて話す代わりではありません。会話のきっかけのひとつとして使うくらいの気持ちでいると、親も子どもも無理なく続けられます。
カメラ以外の見守り方法との比べ方
どうしてもカメラが難しいときは、ほかの方法もあります。親の気持ちに合うものを選びましょう。
| 方法 | どんな人に向いているか | 気をつけたいこと |
|---|---|---|
| 見守りカメラ | 様子を目で見て確かめたい | 親の同意と、置き場所への配慮が必要 |
| 見守りサービス | カメラは嫌だが、毎日の様子は知りたい | サービスごとに内容や費用が違う |
| 電話・ビデオ通話 | まだ元気で、会話を楽しめる | 連絡が途切れると変化に気づきにくい |
| 近所や地域とのつながり | すぐに駆けつけられない距離に住んでいる | 頼りすぎず、お礼や連絡を欠かさない |
それぞれの見守り方法については、親の一人暮らしが心配なときにできることの記事でくわしく紹介しています。
よくある質問
親に内緒で付けてもいいですか?
おすすめしません。後で気づいたとき、親は「信用されていなかった」と感じ、親子の信頼が大きく損なわれてしまいます。時間がかかっても、親と話し合い、納得してもらってから付けましょう。
もの忘れがあり、話し合いが難しい場合は?
親の判断する力が心配なときは、家族だけで決めず、かかりつけ医や地域包括支援センターに相談してください。親の状態に合った見守りの方法を、専門家と一緒に考えることができます。
費用はどのくらいかかりますか?
カメラ本体の価格や、月ごとの利用料があるかどうかは、製品やサービスによって違います。本体代だけでなく、実家のインターネット回線の費用も含めて、続けられる金額かどうかを確かめてから選びましょう。
困ったときの相談先
見守りの方法に迷ったときや、親の様子が心配なときは、親が住んでいる地域の「地域包括支援センター」に相談できます。高齢の方の暮らしを支えるための相談窓口で、市町村が設置しています。
センターでは、地域にどんな見守りの仕組みがあるかを教えてもらえることもあります。家族からの相談や、電話での相談を受け付けているセンターが多くあります。事前に電話で確認しておくと安心です。
親の体調やもの忘れが気になるときは、家族だけで判断せず、かかりつけ医や地域包括支援センターに相談してください。
まとめ:親の気持ちを大切に、一緒に決める
親が見守りカメラを嫌がるのは、自分の暮らしを大切にしたいという、自然な気持ちからです。まずは理由を聞き、「安心したい」という自分の気持ちを伝えるところから始めましょう。
置き場所やルール、お試し期間を一緒に決めれば、受け入れてもらいやすくなります。どうしても難しいときは、無理をせず、カメラ以外の見守りを選んでも大丈夫です。
参考にした情報
※情報は2026年10月時点のものです。制度やサービスの内容は変わることがあるため、最新の情報は各公式サイトや市区町村でご確認ください。