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親が亡くなり、「相続の手続きは税理士に頼むものなのか」「自分たちだけでできるのか」と迷っている方は多いと思います。はじめての相続では、何が必要なのかも分かりにくいものです。
税理士は、相続税の申告の専門家です。相続税がかからない場合は、税理士に頼まなくても済むことがあります。一方で、相続税がかかる場合や、特例を使う場合は、頼んだほうが安心です。
この記事では、次の3つが分かります。
- 相続税がかかるかどうかの目安と、申告の期限
- 税理士に頼んだほうがいい場合と、頼まなくてもいい場合
- 司法書士・弁護士など、ほかの専門家に頼む場面

結論:税理士に頼むかの判断の順番
- 相続人の数を確かめ、遺産の合計が基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えそうかを概算する
- 超えそうなら、税理士への相談を考える(申告の期限は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内)
- 超えなくても、特例を使う場合や、不動産・株などの評価が難しい財産がある場合は、税理士に相談する
- 名義の変更(相続登記)は司法書士、相続人どうしの話し合いがまとまらないときは弁護士に相談する
- 迷ったら、まず税務署の相談窓口や、税理士の無料相談を使う
まず、相続税がかかるかどうかを確かめる
遺産の合計が基礎控除の額を超えなければ、相続税はかからず、申告も原則として必要ありません。
国税庁のタックスアンサー(No.4152)では、相続税の基礎控除の額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」とされています(2026年10月20日に確認。ページには「令和8年4月1日現在法令等」と表示)。遺産の合計(借金や葬式の費用などを差し引いた額)がこの額以下なら、相続税はかかりません。
| 法定相続人の数 | 基礎控除の額 |
|---|---|
| 1人 | 3,600万円 |
| 2人 | 4,200万円 |
| 3人 | 4,800万円 |
| 4人 | 5,400万円 |
法定相続人は、民法で決まっている相続人です。国税庁のタックスアンサー(No.4132)では、亡くなった方の配偶者は常に相続人になり、ほかの人は、子ども、親などの直系の尊属、兄弟姉妹の順に、配偶者と一緒に相続人になると説明されています。
遺産の合計を概算するときに入れるもの
預貯金だけでなく、実家などの不動産や、生命保険の保険金も確かめます。
- 預貯金、株や投資信託
- 土地・建物(実家を含む)
- 生命保険の死亡保険金(相続人が受け取る場合、500万円×法定相続人の数までは非課税。国税庁 No.4114)
- 差し引くもの:借金、葬式の費用など
土地や建物の評価は、預貯金のように金額がすぐに分かりません。不動産がある場合は、自分で概算するのが難しいため、税理士に相談したほうが確実です。
税理士に頼んだほうがいい場合
相続税がかかりそうな場合や、特例を使う場合、財産の評価が難しい場合は、税理士に相談しましょう。
- 遺産の合計が基礎控除を超えそう:相続税の申告と納税が必要です。
- 特例を使って相続税を減らしたい:配偶者の税額の軽減や、小規模宅地等の特例(実家の土地の評価を下げる特例)には要件があります。
- 不動産・株・事業などがある:評価の方法が複雑で、評価額によって相続税が大きく変わります。
- 申告の期限が近い:10か月の期限に間に合わせるには、早めに頼む必要があります。
- 亡くなった方の所得税の申告(準確定申告)も必要:年の途中で亡くなった方に申告が必要な所得がある場合です。
申告の期限
相続税の申告は10か月以内、亡くなった方の所得税の申告(準確定申告)は4か月以内です。
国税庁のタックスアンサー(No.4205)では、相続税の申告は、亡くなったことを知った日(通常は亡くなった日)の翌日から10か月以内とされています。準確定申告(No.2022)は、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内です(いずれも2026年10月20日に確認)。
特例を使うときの注意
特例を使うと相続税がかからなくなる場合でも、申告が必要になることがあります。
国税庁のタックスアンサー(No.4158)では、配偶者が相続した財産は、1億6千万円か、配偶者の法定相続分にあたる額のどちらか多い額までは、相続税がかからないとされています。ただし、この軽減を受けるには、明細を書いた相続税の申告書に、遺産分割協議書の写しなどを添えて提出する必要があります。
亡くなった方が住んでいた家の土地は、小規模宅地等の特例(No.4124)で、一定の面積まで評価額を80%減らせる場合があります。ただし、誰が相続するか、その後も住み続けるかなど、細かい要件があります。使えるかどうかは、税理士や税務署に確かめましょう。
税理士に頼まなくてもいい場合
遺産の合計が基礎控除を明らかに下回り、特例も使わない場合は、税理士に頼まなくても済むことが多いです。
たとえば、財産が預貯金だけで、合計が基礎控除よりはっきり少ない場合です。この場合、相続税の申告は原則として必要ありません。銀行の口座の名義の変更や解約などは、家族で手続きできます。
ただし、基礎控除に近い額の場合や、不動産の評価額が分からない場合は、自分で判断せずに相談しましょう。あとから申告が必要だったと分かると、追加の税金がかかることがあります。
相続税がかかるかどうか分からないときは、まず税務署の電話相談や、税理士の初回の相談を使って、目安を聞いてみる方法もあります。
税理士以外の専門家に頼む場面
名義の変更は司法書士、相続人どうしの争いは弁護士、と頼む内容で専門家が変わります。
| 頼みたいこと | 主な相談先 |
|---|---|
| 相続税の申告、準確定申告、財産の評価 | 税理士 |
| 実家の名義の変更(相続登記) | 司法書士 |
| 相続人どうしの話し合いがまとまらない、遺言の内容でもめている | 弁護士 |
| 相続放棄(借金が多いとき) | 弁護士・司法書士(手続きは家庭裁判所) |
相続登記は、令和6年4月1日から義務になっています。実家を相続したときの手続きや、空き家になったときの考え方は、実家が空き家になったらどうするかの記事で説明しています。親が元気なうちに家族で話しておきたいことは、実家が空き家になる前に決めることの記事にまとめています。
相続税がかかるかどうかや、特例が使えるかどうかなど、個別の判断は、税理士や税務署に相談してください。
相続に強い税理士の探し方
相続税の申告の経験があるか、料金の目安を最初に示してくれるかを確かめます。
- 相続税の申告の経験:税理士によって得意な分野が違います。相続税の申告をよく扱っているかを聞きましょう。
- 料金の目安:何にいくらかかるか、見積もりを出してもらいます。
- 相談のしやすさ:親の住む地域と自分の住む地域が離れている場合は、電話やオンラインで相談できるかも確かめます。
知り合いに紹介してもらう方法のほか、税理士を紹介するサービスを使う方法もあります。
税理士を探す方法の例:税理士ドットコム
弁護士ドットコム株式会社が運営する、税理士を探すためのサービスです。相続税の申告など、相談したい内容を伝えると、コーディネーターが要望を聞いたうえで、合いそうな税理士を紹介してくれます。
公式サイトでは、税理士の紹介は何人でも無料と案内されています。紹介された税理士に申告などを頼む場合は、その税理士への報酬がかかります。料金などの条件の相談や、面談のあとに断るときも、コーディネーターが対応すると案内されています。
紹介された税理士とは、見積もりや条件に納得したうえで、個別に契約します。税務署でも、税金の相談を受け付けています。
※サービスの内容は、2026年10月20日に公式サイトで確認したものです。変わることがあるので、申し込む前に公式サイトで最新の情報をご確認ください。
公式サイトはこちら
困ったときの相談先
税金のことは税務署と税理士、名義や争いのことは司法書士・弁護士に相談できます。
- 税務署:相続税がかかるかどうか、申告の方法などを相談できます。国税庁の「税についての相談窓口」から、電話相談センターの案内を確かめられます。
- 税理士:相続税の申告、財産の評価、特例が使えるかどうか。
- 司法書士・法務局:相続登記の手続き。
- 弁護士:相続人どうしの話し合いがまとまらないとき。
まとめ
まず相続税がかかるかを概算し、かかりそうなら早めに税理士に相談しましょう。
遺産の合計が基礎控除を超えそうな場合や、特例を使う場合、不動産がある場合は、税理士に頼んだほうが安心です。相続税の申告の期限は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。
名義の変更や、相続人どうしの話し合いなど、税金以外のことは、司法書士や弁護士が専門です。迷ったときは、税務署の相談窓口から始めてみてください。
参考にした情報
- 国税庁 タックスアンサー No.4152「相続税の計算」(2026年10月20日確認)
- 国税庁 タックスアンサー No.4205「相続税の申告と納税」(2026年10月20日確認)
- 国税庁 タックスアンサー No.4158「配偶者の税額の軽減」(2026年10月20日確認)
- 国税庁 タックスアンサー No.4124「小規模宅地等の特例」(2026年10月20日確認)
- 国税庁 タックスアンサー No.4114「相続税の課税対象になる死亡保険金」(2026年10月20日確認)
- 国税庁 タックスアンサー No.4132「相続人の範囲と法定相続分」(2026年10月20日確認)
- 国税庁 タックスアンサー No.2022「納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)」(2026年10月20日確認)
- 国税庁「税についての相談窓口」
- 法務省「相続登記の申請義務化について」
- 税理士ドットコム「税理士紹介」(2026年10月20日確認)
※情報は2026年10月時点のものです。制度やサービスの内容は変わることがあるため、最新の情報は各公式サイトや市区町村でご確認ください。